泣き虫2。
年に何回か巣に戻る父の顔はどんより曇った綿菓子のようにぼやけてる。
ああこの人間が父というもんなのだ。
ある日愛というサプリを摂取するのを神様から禁止でもされてたんであろう兄が、それに反抗するかのように幼いオレらには見たこともない通貨を手に入れてきた。
久しぶりに巣に戻ってきた父の3万円をポケットにオレらは母がよく買い物に連れていってくれていたデパートに行った。
見慣れた風景の色や匂いが通り過ぎていく。街場のデパートに着くまで、肌寒く小雨の降る中オレは兄の表情をジッとみていた。
オレは小学校にもまだ入学していなくて、お小遣いの概念がなかった。
その百貨店で兄はうまい棒やコーラ餅を買うようにファミコンのソフトを何本か買っていた。
帰り道に残りのお金は2人でそっとゴミ箱の中に入れた。